
むし歯や歯周病は細菌によって引き起こされます。さまざまな細菌が関与しますが、その中でも性格の悪い細菌がいくつか見つかっています。これらの細菌がいると歯ブラシで細菌への栄養を与えないようにするだけはなかなか病状が良くなりません。
それを調べるのが細菌検査で唾液や滲出液を使って簡単に検査できます。
あとからあとからむし歯ができてしまう人、定期的に歯肉がはれる人はぜひ検査されることをお勧めします。
以下の細菌が検査できます
むし歯の細菌
Streptococcus mutans (gtfB遺伝子陽性の代表的菌種)
α-あるいはγ-溶血性のレンサ球菌でヒトの口腔に 生息し、最も重要な齲蝕病原菌とされています。ソルビット、マンニットを分解し、スクロースから 非水溶性でかつ粘着性のα-グルカンを産生し、 菌体は歯の固表面に強く付着。
多くの糖類を分解し乳酸などを産生して歯の硬組織を溶解します。
Streptococcus sobrinus(gtfI遺伝子陽性の代表的菌種)
齲蝕の約20%に、S.mutansとともにS.sobrinusが分離され、S.mutans単独の 場合よりも齲蝕の度合いが重度と評価されています。
歯周病の細菌
Actinobacillus actinomycetemcomitans
小さな球形に近い、非運動性、非芽胞産生性、 糖分解性、好二酸化炭素性、通性嫌気性、 グラム陰性の、両端の丸い桿菌です。
限局型若年性歯周炎の病巣から比較的高率に検出され、 健康な、あるいは軽度にしか罹患していない患者の 歯肉縁下プラークからの検出率は低いと されています。
Porphyromonas gingivalis
黒色色素産生性バクテロイデス属に入り、これらは 偏性嫌気性、グラム陰性、非芽胞産生性、 非運動性桿菌で、血液培地で増殖すると、褐色あるいは 黒色に着色したコロニーを作ります。
進行した成人性歯周炎の病巣から、また、 広汎型若年性歯周炎の病巣からも分離されます。
歯肉の炎症の程度と歯肉縁下プラークに占める本菌の 比率との間に相関関係があることも明かに されています。
対照的に健康人あるいはまだ歯周炎に罹患していない 歯肉炎患者の歯肉縁下試料からは まず検出されません。
Prevotella intermedia
同様に黒色色素産生性バクテロイデス属に入り、 進行した歯周炎患者のポケットから、しばしば多数のP.gingivalisと一緒に分離され、 単独に存在することは稀です。
P.intermedia
歯肉炎患者および健康な歯周組織を 持つヒトの半数以上に存在しています。
Bacteroides forsythus
グラム陰性、非運動性、初期には球菌様を呈する 嫌気性桿菌ですが、時間が経つと、通例、 先のとがった両端と膨れた中心部を示すようになります。
本菌は歯肉炎や健康部位、または疾患の軽快した部位に 比べ、歯周組織破壊の激しい部位で高率に 検出されます。
また、表在性や非活動性の病巣よりも、深在性で 活動性の歯周病病巣でそれが顕著となります。 難治性歯周炎の指標として重要な菌種です。
(BMLホームページより引用)
*特にPorphyromonas gingivalisは動脈硬化を起こした血管や心筋梗塞を起こした心臓壁からもみつかっています。歯周病の治らない方はぜひ検査をお勧めします。
*まだ保険の適用になっていません。1種類検査するのに8800円 、追加1種類ごとに4400円かかります。
*むし歯の細菌は治療でいなくなるとほとんど再感染しませんが、歯周病の細菌は夫婦間等で再感染します。できれば家族単位で検査することをお勧めします。
*検査方法は唾液あるいは歯肉の滲出液をとるだけです。歯ブラシは2時間前までに、また、検査当日はアルコール系の洗口剤を使用しないで下さい。